2005年2月16日午前4時25分の出来事と、三日目の夜、本来の母親となる事ができた「さくら」の顛末
つぎ
まえ

      P4

連絡はしていたものの起きてくれるだろうか?心配でしたがプライベートな電話番号を知らせて下さっていました。車で四・五分のぶし動物病院へ走りました。マリヤの運転で私がさくらを抱きかかえていました。着く頃に、お尻の辺りに今までにない感触がありました。そうです、最初の赤ちゃんの頭の部分が出ようとしているところで、先生に慎重に手渡すとすぐさま取り上げてくれました。しかし、先生の声は沈んでいました。

「この子は駄目かもしれません」

一生懸命、生命を繋ごうとされていました。

 一男三女と四匹が生まれたのですが、最初の子は、私の手のひらに「あの感触」を残して命を閉じ、我が家を見ることはできませんでした。庭に永眠しています。自らの命を賭けて弟妹達のために犠牲になってくれたのだと思います。有り難う、本当に感謝しています。

 さくら達をお願いして五時間後、今度は病院からのお電話でさくらが子供達の世話をしようとしないので、申し訳ありませんが引き取りに来ていただきたいとの連絡でした。








 期待に胸を膨らませ、透明なガラス戸を押し開き、受付にその旨をつたへ引き戸を開け診察室へ、そこには生まれて数時間、白、茶、黒、子犬を包む短い毛、一本一本が輝きを放っていました。でも、生き物としての印象は、いも虫の巨大なやつがモコモコト動いている、そう感じました。死産としたい一匹を除いて、帝王切開で取り上げてくださり一匹の男の子と二匹の女の子が、この世に無事生を受けることとなりました

グランPへ2戻る

前ページ 4 次ページ